ヴァンフォーレ甲府の土屋 巧選手は、クラブの攻守において重要な役割を担う期待の若手選手。シーズンを通してその成長を遂げ、ますます注目を集める彼のプレースタイルや今後の展望について詳しく分析していく。彼のフィールドでの動き、戦術的な適応力、そして将来へのポテンシャルを掘り下げ、土屋選手がヴァンフォーレ甲府にとって欠かせない存在となる理由を探る。
*あくまで個人的な分析などをまとめているので、もし不足なところがあれば、お問い合わせフォームからご意見頂けると幸いです。
*通算成績=リーグ戦、カップ戦の合計
基本情報

土屋 巧(つちや たくみ)
2003年10月25日生まれ
栃木県宇都宮市出身
ポジション:MF、DF
身長:180cm
通算23試合出場(2024シーズン)
生い立ち

小学生時代:ともぞうSCジュニア-ヴェルフ矢坂(ヴェルフェたかはら那須)
中学時代:ウイングスSC
高校時代:日本体育大柏高校
2022~ 柏レイソル
2025~ ヴァンフォーレ甲府(期限付き移籍)
中学卒業後に日本体育大学柏高校に進学。2021年関東大会準優勝した際、主にCBを務めているが、ボランチとしてのヘディングの強さや守備対応、修正能力、視野の広さ、左右両足からの展開などにも注目を受けていた。
柏レイソルで2度の練習参加などによって評価を勝ち取り、2021年9月に2022シーズンからの加入が内定した。また、日本体育大学柏高校は2015年からの柏レイソルとの相互支援契約締結後、初めてのJリーガー誕生となった。
2022年、柏レイソルに正式加入。同年4月13日、YBCルヴァンカップGS第4節・サガン鳥栖戦でプロ初出場。天皇杯3回戦の徳島ヴォルティス戦ではプロ初ゴールを記録した。また、J1第24節・京都サンガF.C.戦で自身Jリーグ初出場した。
2025年シーズンはヴァンフォーレ甲府へ期限付き移籍となることが発表された。
プレースタイル
攻撃(オフェンス)
ヘソ下にボールを置いてドリブル
ドリブルの原則として、ヘッドアップでヘソ下にボールを置くことが、相手守備に対しての最適解になる。
まず、ヘッドアップ。視野の広さを保つために頭を上げ、視覚からの情報を常にアップデートする。味方・相手の立ち位置やフリーのスペースが空いているかどうかを瞬間的に判断するために有効。
次に、ヘソ下にボールを置くメリット。ヘソ下(曖昧な表現ではあるが体幹直下の位置のこと)にボールがあれば相手守備はどう感じるか。ボールが身体が離れている時よりも、やはり取りきるのは難しいと感じるだろう。ヘソ下にボールを置きながらドリブルされれば、プレスをかけづらいし、詰めたとしてもボールに触れられずファールを誘発させられる危険性も伴っている。
セットプレー時の献身性
セットプレーでは、ファーサイドにポジションをとり、ニア逸らしや大外からシュートを狙う役割を担っている。それだけでなく、フィジカルもある程度備わっているため、相手をブロックし、味方のシュートコースを空ける献身的なプレーもみられる。
他にも、相手の背後を意識的にとっているため、抜け出しのタイミングやクロスが来る直前に相手の前へ入ることで不意を突き、相手は守備のズレを誘発させられている。
守備(ディフェンス)
裏ケアとコミットメント
最終ラインでは死角になる背後を利用されないことが重要になってくる。土屋選手は、それを意識しており、時折首を振ることで死角にいる相手のポジションを把握し裏抜けのタイミングを見逃さないよう自らもポジションを修正している。
自身のポジション修正だけでなく、味方に対して見渡しの良い最終ラインから相手への寄せやフリースペースを潰すポジション修正等を声出しをして指示出来ている。加入して間もない中で、チームの要としてコミットメントが高い。
チャレンジ&カバー
ドリブル突破を抑止するために重要なのは、相手と対峙したときの姿勢。相手が正対しているときは横向きでワンサイドカット、相手が横向きになった瞬間にプレスをかけに行く。土屋選手は前者であるワンサイドカットが出来ていることが多い。相手が正対しているときというのは、自身の両サイドにパスコースが強制的に形成される。この際、有効になるのは中切りのため横向きになり相手をサイドに追いやり、狭いエリアでプレーさせるという守備戦術。選択肢を与えないことで相手を動揺させ、思うようなプレーをさせない。それが、相手がいるスポーツの原理になる。
味方がサイドで突破されてしまう場合もある。その際、突破されるまでに縦ラインを形成し、サイド守備のカバーも積極的に行ってくれる。味方の背後が空いていれば、相手はそのスペースでアクションを起こすだろう。そのスペースで待ち構え、突破した瞬間にプレスを掛けていけばフリーでボールを運ばせる場面を少なく出来る。
今後の課題
膝下を折り曲げてボールにインパクトを与える日本人選手の典型的なタイプ。ショートパスでこの蹴り方をする場合、二次動作(走り出し)のトランジションが遅くなる。歩行動作の延長という意識でパスを出すことで足の踏み込みがスムーズになり、反発ステップやスプリントも体感が変わってくる。3人目のサポートを考えておらず、ショートパスを出しても只々返されるだけの危険なプレーが見られる(その間に相手は寄ってくる)。ドリブル時に、相手への正対が出来ていないため相手から逃げるように突破を図っていて、足だけで勝負する場面がある(相手のリズムにのまれやすい)。WG、オーバーラップしたSBへのサポートがほしい。味方がドリブル突破出来ないと判断した時に、ラインを落として逆サイドへの展開やサポート位置からのクロス等の選択肢を増やすためにも下のエリアにパスコースを形成する意識を持ってほしい。相手セットプレー時にくっつき過ぎず、落下地点にあとから入っていくため相手と入れ替われにくく、守備動作を制限されにくい。だが、もう少し相手をロックできる(掴める)位置にいたいとは思う。相手ではなくボールに突っ込んでいく時があり、足が絡まりファールを取られやすいプレスになっている。
土屋 巧選手は、まだ22歳という若さでありながら、Jリーグの舞台でその才能の片鱗を証明しています。特にその特徴的なプレースタイルは、今後さらに磨かれることでしょう。守備意識やドリブル技術だけでなく、ゲームの流れを読む力も加われば、さらなる成長が見込まれます。また、攻撃においても、守備を支えるだけでなく、試合の流れを変える局面でも献身的に働く姿勢があり、総合的な選手としての資質を持っています。
土屋選手は、今後のJリーグを代表する若手選手として、さらに注目されることは間違いありません。将来的には、海外リーグでの活躍や、代表チームに招集される可能性も十分にある選手です。その成長を見守りながら、今後のキャリアにおける活躍に大いに期待しています
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